吸収と表現の毎日

人生の余白を文字と旅で埋めていきたい

『文化政策の現在1/文化政策の思想』読了.

文化政策の現在1 文化政策の思想

文化政策の現在1 文化政策の思想

 

文化政策という言葉が国レベルで正式に使われるようになったのは2000年代に入ってからであった」という強めの向かい風から始まる。

この書籍は、日本文化的お家芸のなかで仕事をし、忙しい合間を縫って文化人類学民俗学を研究するおばに薦められたもの。一緒にランチを食べたときに好奇心のベン図が重なり合ったそこで、彼女が「少し重めだけどすごくいい」と言ったから帰り道に本屋で探したけれど売っておらずamazonで。
編者は、文化資源学を生業とする東京大学小林真理教授。文化政策学より「資源学」という言い方、凄く好き。資源と表現する時点で、その価値の重要性をぐっと高く据えている感じがする。非常に右脳的な話です。

感想の持てない一冊。心で受け止める種類のものではなく、完全に基本書の部類だった。一度全体をさらっと通し読みして、二度目は項目別にぐっと入って読んでみたけれど、述べられた事実或いは考え方を深く理解するにあたって到底こちらの書籍だけで賄えるなんてことはなく私は宝物と化していた日本文化史の厚いノートをひっくり返したり、かつて母が語っていた世界の各地域における文化資源の扱われ方というものを思い出し、それでもなお消化しきれないたくさんのものがまだ目の前に陳列している有様。私は世界や世の中のことなどほとんど何も知らないのだということをまざまざと見せつけられる。その無知が恥ずかしいという感情、知り続けたいという欲望、到底無理かもしれないという諦めがぐるりと鍋のなかで混ざっている。

ただ、個人の活動としては人生のなかで文化資源というものと経済活動というものがいかにその交わりをかなえ、人々の日常と非日常において織りなされる文化というものが豊かに守られ発展をしていくのか研究し続けたい。その一心かもしれない。

内容も重かったが、リュックに入れて移動するのも重かった。