吸収と表現の毎日

人生の余白を文字と旅で埋めていきたい

『日本人なら絶対知っておきたい韓国の歴史』読了.

3月頭にチャミスルというお酒を浴びるように飲んで完全に肝臓の仕様が変わった(=弱体化した)と思われるワタクシ、もたれる内臓を抱えつつこちらを読んでおりました。

今期読んだ書籍ベスト5に入る面白さ。韓国と日本の関わるところについて、人間関係を支点にして非常に丁寧に書かれている。正直、日本人としては都合が悪く読み飛ばしたい箇所もあるくらい丁寧に歴史をなぞることもできる。日本から韓国に渡って、その地のために尽くし讃えられている人のことも記録されている。これまでも、主に古代を中心に日本・韓国・中国の関係や歴史を勉強してきたはずだったけれど、やはり受験勉強ではわからない深さがあるものだ。科挙の強い影響や、李氏朝鮮時代の両班(ヤンバン)の置かれていた立場、恋愛や婚姻に男女の身分関係がどう影響したのかなど、この本でリアルな状況がわかった。

私にとって韓国は、3番目の祖父母がいるとても大事な国。香港に暮らしていた頃、私たち家族はマンションの5階に暮らしていて、上の階に暮らしていたのはソウルから移住してきた3世代のコリアンファミリーだった。はじめ、私たちが日本人だと分かると、全く口を聞いてもらえなかった。でもある日、彼らのうちの一人がマンションのエレベーターの故障で閉じ込められてしまい、韓国語で叫んでいることに気付いた私の母が管理人と消防を呼んで助けたことがあった。後日、6階の家に招待されて韓国の調度品だと思われる重厚な木製の屏風のようなものの奥から出てきたおじいちゃんに「太平洋戦争のとき、夫婦して東京の大学に通っていたけれど強制帰国させられ、日本が嫌いになった。だからあなたたちとは話したくないと思っていた。しかし、今回こうして娘のことを助けてもらい、とても感謝しています」と言われた。とてもきれいな日本語だった。それから、私はその高齢のご夫婦を「6階のおじいちゃんおばあちゃん」と呼び良く遊びに行き同世代のお兄さんお姉さんに色んなことを教えてもらった。母は6階のおばあちゃんとその娘さんに韓国料理を習い、特にキムチは最高だった。私たちが日本に帰国した後、彼らも香港の中国返還に合わせカナダに移住したけれど両家族の関係は今も続く。ちなみに姓は朴さん。上記の本によると、韓国で3番目に多い姓とのこと。日本には約15万の姓があるのに対し、韓国は300弱。同じ姓の人が多いことに納得がいったのだった。

著者がひとりひとりの人生に対して敬意をもって記述している本だったなあ。