吸収と表現の毎日

人生の余白を文字と旅で埋めていきたい

『死体の犯罪心理学』読了.

死体の犯罪心理学 (アスキー新書)

死体の犯罪心理学 (アスキー新書)

 

御丁寧に刑法判例と併せて読むとなお理解が深まるのだけれどこれだけでも十分に色々なことがわかる。実際に起こった事件の状況証拠及び検死から推察できる事項。

この手のテーマはあまり得意ではない人も多いと思うのでさらりと行きたいが。私自身は刑事をしていた祖父にこの手の話を聞いてきて、別の立場(科学的)から同じ状況証拠を観察したときに、どんな分析結果(推察)が発生するのか関心があったので高校生の頃から上野先生の著書を読み始めた、というか全部読んだ。大変興味深い内容で、何度か再読していたのできれいに本棚に並べていたら親から「できれば目にしたくない」と言われ、机のなかにしまっていたが実家から独立した後、処分されたらしいことに最近気づいた。がーん。でも確かに10代の娘の自室に"死体は語る"とか"女だけの死体ファイル"とか並んでいたら心配になるのかもしれない。放課後、人体展に寄って帰るような娘だから尚更・・・。
忘れもしない大学4年生の1月のある日、白山通り沿いのスターバックスで勉強していた。窓際のカウンター席に基本書とノートを開いて民事訴訟法の論文の構成なんかを考えていたと思う。そうしたら目の前の白山通りを物凄い勢いで、パトカーと救急車が走っていく。そのあともサイレンを鳴らすパトカーが何台も同じほうに向かっていく。ただ事ではないと思った。靖国神社が近くたまに騒がしくなる地域だけれど、こんなことはない、しかも方角が違う。一緒に勉強していた隣の人に「なんかおかしくない?」と聞くもたいして相手にされない。しかし、なんかおかしいと思ったのは当然で、そのスターバックスの1kmほど先にある中央大学で殺人事件が起きていた。

この本は、その事件の真相に迫るところから始まる。報道だと、事実が報道されたあと、心理学の教授や警視庁OBをホッピングするようにコメンテーターが登場し、犯人推理や被害者の過去を情緒的に放送するような傾向がある。で、そうゆうのにはあまり興味なくて、やはり状況証拠から推察できることを論理的に知りたい。だから読んだ。

中央大学教授殺人事件の他には、渋谷区富ヶ谷のバラバラ殺人(事件のすぐあとに、そのマンションに行く用事があって震えた)、埼玉連続不審死事件と数件の事件を扱っていく。中には「代理ミュンヒハウゼン症候群」についても触れている、これは例えば、母親がこどもを故意に傷つけたり、あるいは故意に病気になるようにして、それを献身的に看護する様子を第三者から褒められたい、労わられたいという精神疾患。珍しい疾患のように思えるが、日本でも虐待死の数%はこれが原因での行為によるものと言われている。毒を飲ませたり、高いところから無抵抗の子供を落として怪我させたり、場合によっては静脈にバクテリアを含む水などを注射する人までいる。信じられないけれど、そういった疾患は実在している。

などなど、ご興味のある方はぜひ・・・。
この種の本に共感してくれた友達がまだいない。

*Writing BGM

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ほんと魔法のような声を出す人だ…。