吸収と表現の毎日

人生の余白を文字と旅で埋めていきたい

『建築家、走る』読了.

建築家、走る (新潮文庫)

建築家、走る (新潮文庫)

 

御多分に漏れず隈研吾さんが好きだ。
彼のつくる"日本的"建築表現が、どこか海外から見た様子に思えてずっと不思議だった。

隈さんの建築に向き合うと、いつも思い出すことがある。中学時代、スポーツの絵画コンクールというのがあって、私はやったこともないくせに大好きな剣道の絵を描いた。やったことがないので会場の様子もわからず、竹刀を交し合う選手2人の背後に竹藪と屏風を描いた。そうしたらなぜか入賞し、剣道の世界観を世界に伝える面白い構図とコメントをもらった。

隈さんの建築には「世界から見た日本」をぐっと洗練させている感じがある。
そう思うならかなえてさしあげましょう、最高級で!の感じがある。
大宰府スターバックス、熱海のCOEDA HOUSE、馬頭広重美術館、サントリー美術館歌舞伎座、浅草文化観光センター・・・まだまだ色々あるけれど、好きだ。

彼の組む木と木の隙間から漏れる光、伺えそうで把握しきれない建屋の中の様子など、実に空間に対する日本的価値観の表現。

どうして彼があのような建築をつくるようになったのか、アメリカへの感情、安藤忠雄先生との関係など、この本からは幅広く隈さんを知ることができる。

 

ファン用エッセイのような感じ。ああ、楽しかった。
色々な声が聞こえるけれど、国立競技場も私はたのしみにしている。