『科学者は戦争で何をしたか』読了.
2008年ノーベル科学賞者である益川敏英氏による、科学者にとっての倫理の話。幼いときに(結果的に不発弾となった)焼夷弾が目の前に落ちてきても生き延びた彼が戦争を経験した科学者として社会や科学者に訴える内容は無視できない。
戦争って、外交手段の一つのはず。
いや、手段とはもう言えない状態なのか。
世界から戦いがなくならない。
なくならない間に科学技術や研究はみるみるうちに進化して、
そこに、国運をかけて大量の軍事費が投下されたら、もうたまらない。
そんなたまらないことが起きている世界に生きていて、二度も原爆を投下された国に住んでいる。
世界から戦いがなくならない。
なくならないばかりか攻撃する側のリスクは最小化、攻撃される側のリスクは最大化。
人を殺すための技術が進化するっていったいなんなのだろう。
シンプルなことを伝えたい。
こどもが出来ること、産むまで到達すること、産み出すこと、無事に生かし続けること、どれもすごく大変で、人々が慈しみ育んでいる大事なもの。殺して止めているのは心臓の動きではなく、その人が生きることで世界に巡るエネルギーそのもの。いつか跳ね返ってくる。傍観している人にさえ、跳ね返ってくるもの。
科学の進化を悪用するならもうこれ以上先を求めなくてもいいところまで世界は来た。
そんなときだからこそ、益川先生の話、そして益川先生の師匠である名古屋大の坂田先生の話は、ぜひ一度胸のなかにしっかりと刻んでおきたい。
益川先生が記述している、坂田先生の言葉を引用。
「科学者には現象の背後に潜む本質を見抜く英知がなければならない」
科学者だけではなく、社会を構成するすべての者たちで向き合いたい課題。
小学生でも高学年だったら十分に読めるぐらいの柔らかい本なので、
ぜひ、お手に取ってみてください。
*Writing BGM
ZERO LANDMINE{ryuichisakamoto}
高校時代、この曲で作品をつくって踊ったとき、客席で泣いている人がたくさんいて、人々が世界や家族を愛する気持ちを信じたいと思った。